ゴミの一生 〜いろいろ違うスウェーデン

環境先進国といわれるスウェーデンだが、ゴミの扱い方も日本とは違う。


わかりやすいところでは、燃えるごみ。


焼却炉は地域暖房も兼ねていて、燃やす時の熱を使ってお湯を沸かし、近郊の家庭などに暖房として提供している。
いわゆる温水暖房で、床下ではなく、壁にパネルが設置されている。輻射熱で暖まるので、エアコンと違って体にもやさしい。


それから生ごみ

日本では生ごみは燃えるごみにされるため、水分が多くて燃えない。だから、灯油をかけて無理やり燃やしている。


スウェーデンでは、日本のやり方は違法だ。
生ごみ生ごみだけで回収されて、バイオガスを作る。
ガスは車の燃料として使われていて、首都ストックホルムの市バスは100%バイオガスで走っている。
さらに、都市ガスも天然ガスからバイオガスへの切り替えが進んでいて、街ではガス管の工事が行われていた。


さて、そのように先端を行くスウェーデンの中でも、最もゴミ処理が進んでいるのがオーベルトーネオ市だ。
ごみ担当者ソフィアさんに話を伺った。(写真左)


まず、生産者責任が明確だ。
メーカーがゴミ処理の費用を負担するのだ。
だから、できるだけゴミが少なくなるように製品を作るし、容器や包装も工夫する。


容器にも規制がある。
例えば、インクは燃やしても有害物質を出さないものでないといけないし、ラベルははがしやすいように貼っていないといけない。


ゴミ教育も徹底している。
幼稚園から環境教育を取り入れていて、ゴミの分別を学ぶ。

大人の場合、例えば引っ越しをして、新しい自治体やマンションに入ると、ゴミの分別の仕方の講義を受けなければならない。
(だから移民もゴミの分別ができるようになる)

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ところで、抜本的にゴミを減らすには、大量消費ではなく、モノを大事にして長く使う文明に変革することが必要だ。しかし、そうすると消費が減るので経済は鈍化する。


そのジレンマについては、持続可能性が一つの答えだと思う。


つまり、いまの大量消費に依存した経済は持続可能ではない。
だからある程度鈍化するのは、あるべき姿に近づいていくことなのだ。

ここで注意が必要なのは、安くて低品質のモノではなく、少し高くても品質が良くて大事に使えるモノへ、生産者も消費者もシフトしていく必要がある点だ。
ものすごく単純な話、生産が半分になっても、価格が倍になれば経済的には同じことだからだ。



持続可能な社会については、今回のスウェーデン視察のテーマの1つなので、別の機会に取り上げる予定。