住宅のエネルギー <ガスなし、電気たっぷり、温水付き>

いま泊まっているマンションから、日本とのエネルギー事情の違いも見えてきます。


ここは首都ストックホルムの住宅街ですが、都市ガスはなく、プロパンガスでもありません。


家庭向けエネルギーの種類は、電気と温水です。


ガスなしで、どうやってお湯を出したり、調理をしたりするのでしょうか?




まず、お湯は地域温水システムで提供されています。


集中的に温水を作る施設があって、そこからマンション全体はもちろん、地域全体に配管して温水を届けています。


日本では、オール電化などとセットで、夜間電力やガスを使って家庭で温水を作るケースも増えてきましたが、ここでは社会システムとして実現されています。


ちなみに、この温水システムは、お風呂などのお湯だけではなく、暖房もカバーしています。


北欧の夏は涼しいのでクーラーはいりません。冬の暖房があればよいのです。


そして暖房として設置されているのは、エアコンではなく、温水パネル。


このパネルが各部屋の壁にあります。もちろんバスルームにも。


温水パネルは輻射熱で体を温めるし、空気も乾燥させない、埃も舞いません。とても優れモノです。




それから、お湯以外のガスの使い道は、調理ですよね。


こちらでは、調理には電気をつかっています。


去年物件を見に行った時にはIHばかりだったのですが、このお宅は電気コンロです。

これなら電磁波の心配もないですね。



さて。電気+温水でまかなわれているこの部屋の場合、どれくらいの契約電力なのでしょうか。


2LDKで、エアコンがないけど電気コンロなので、50アンペアくらいかな、と思ってブレーカーを見てみると・・・



なんと合計158アンペア!!


オール電化住宅並みです。


おかしいな。そんなにたくさん使うわけがないのですが・・・。


もう一度表をよく見てみると、


なるほど。細かくグループ分けされていて、それぞれに10アンペアずつ割り当てられています。


おそらく家全体が停電しないように分散させているのだと思いますが、かなり余裕を持たせています。


こんなことしたら基本料金が高くなるのでは・・・と思いましたが、


考えてみればスウェーデンには日本のように電力会社による独占はありません。


送配電の分離+市場化が10年以上前に行われていますから、電力供給や料金の仕組み自体が違うのでしょう。




また、そもそもなぜガスが一般的でないのかは(さらに火力発電もほとんどない)、


1980年オイルショックの際に、日本と同じように地下資源のないスウェーデンがとった脱・石油依存の戦略からきているのだと思います。





余談ですが、この国は1980年に国民投票によって脱・原発も決めています。


つまり、脱・石油と脱・原発への道を同時に歩み始めたのです。


どこかの国がトイレットペーパーを買いあさっていた頃、すでにそういう話をしていたわけです。(苦笑)


どうしてこんなに違ってしまったのか・・・。


スウェーデンから学べることって、たくさんあるような気がするんですよね。




危ない電磁波から身を守る本 (シリーズ安全な暮らしを創る)

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