エコ自治体の試練

スウェーデンの中でも先進的なエコ自治体であるオーベルトーネオ。


(オーベルトーネオまで59km、の標識)


しかしこの街でも抱えている問題はいくつもある。

例えば、エコ自治体として優良財政を維持しているにも関わらず、エコ推進の予算が削られてしまったことだ。

エコへの取り組みという比較的ソフトなことよりも、

道路などのハードなことのほうが投資先として目に見えてわかりやすいために予算が回りやすいのだ。

市議会議員のアニカさん曰く、

「遠く日本から視察に来てもらっているのに、こんな予算配分の現実をお伝えするのは、とても恥ずかしいことです。

でも、みなさん(エコツアー参加者)がいらして下さったことで、またやる気が出てきましたし、

ハードを優先している人たちにも少なからず影響を与えると思います。」



アニカさんも、予算がないから全てお終い、あきらめよう、なんてことは、ない。

お金がなくてもできることはある。

例えば、自然保護に取り組むための国の補助金を申請することや、計画を練って議会に提出すること。

それに、これまでとは違った考え方で取り組むことも大切だ。

(行政にやってもらうのを待つのではなく、自分たちで始めた地域温水暖房がその好例)

みんなで集まって、アイデアをどんどん出し合って議論することもできる。

そうやって予算がなくても前に進んでいく。

どんな時期でも、その時にできることを考えるのだと言う。


そうは言っても、長くエコ自治体を推進する活動をしていると、それがだんだん当たり前になってきてしまう。

その大切さを忘れてしまったり、自主性が失われてしまったりする。


予算が削減されてしまったように、オーベルトーネオはまさにそういう状態にあるそうだ。

しかし今回、遠い異国の人々の視察を受けることで、市の人々にも刺激になるだろうし、

アニカさん自身もエネルギーが湧いてきたとのことで、とても感謝されてしまった。



今回のエコツアーでは、こちらが学ばせて頂くばかりと思っていたが、

人と人との出会いなのだから、スウェーデンの人々にも、ツアー参加者が与えられるものもあったのだ。

そう思うと、わずか1週間の旅ではあったけれど、

参加者だけではなく、出会った人たち、このツアーのことを聞いた人たち、

数多くの人に何かとても意味のあるものがもたらされたんだな、と改めて気がつくのだった。