新しいエコタウン建設の理由
スウェーデンの首都ストックホルムでは、前回紹介したエコタウン<ハンマービー・ショースタド>の隣に、もうひとつ新しいエコタウンを建設中だ。
もちろん、石油資源に依存しない<持続可能な社会>を目指しているからこそのエコタウンだが、そもそも町をまるごと作ってしまうような大技を決めているのには理由がある。
市民の増加が早すぎて、住宅が不足しているからだ。
民間でも建ててはいるが、公共が強いスウェーデンなので、自治体が都市計画に則って住宅を建てている。
なぜ、市民がそんなにも増加しているのか、理由は2つあると思う。
1つは、東京と同じ。
仕事と学校だ。
仕事を求めて、また、大学に入るために、首都に集まってくる。
そして2つ目の理由は、移民。
スウェーデンは、非常に積極的に移民を(難民も)受け入れているので、それによる人口増加も著しい。
Wikiによれば実に14%が移民で、7人に1人の割合にもなる。
(※ちなみに日本には200万人もの外国籍の人がいて、1.6%の割合だ)
一番多いのは隣国フィンランドだが、ユーゴスラビアや中東も多い。
僕も滞在中は、フィンランド人によく会ったし、中東系の人もいたるところにいる。
ここでやはり問題になるのは、価値観が大きく異なる人たちと、どうやって共生するかだ。
7月、ノルウェーで移民受け入れ派の青年政治家が大量に射殺されるという事件が起きたように、スウェーデンでも過去にテロが起きていて、とても根深い問題。
この国は、スウェーデン語の教育や仕事のあっせんを始め、生活費の補助、手厚い社会保障などさまざまな支援を行っている。
さらに外国籍のままでも3年以上住めば、地方参政権も与えられる。なんと立候補もできるのだ。
すばらしいことには間違いないが、それによる軋轢(あつれき)が起きてしまっている。
「なんで外国人に(税金を投じて)そこまでしなきゃいけないんだ」というのが1つの率直な気持ちだろう。
しかし、職業による給料の統一がされているこの国で、
介護やゴミ掃除などの好まれない仕事を担ってくれているのも、また移民だったりする。(労働としては大変なわりに、キャリアがあまり望めない。)
例えば、介護は自治体が担っていて無料だが、実際に来てくれるのは日々違う国の人、ということが起きる。
これが介護される側にとっては、結構な心理的負担になるそうだ。
エコタウン建設から、スウェーデンも完璧な国ではもちろんなくて、複雑な問題を抱えていることが見えてくるのだった。