ミツバチ上映会(後編) 〜民主主義の底力を垣間見る〜

前回の続き。

<どうしたらスウェーデンのような変化を起こせますか?>

と、オーベルトーネオの皆さんに投げかけたところ、たくさんの意見を伺うことができた。


「情熱を持って行動を起こしている人がいることが大切だね。
私たちも、地域暖房をやろう、というアイデアがなければ始められなかった。


オーベルトーネオはスウェーデン国内では先駆者だけど、実は隣国フィンランドから学んだんだよ。だから、成功事例から学ぶことが大切だね。


そして実際にあるアイデアを始めると、必ず問題が出てくる。そういう時は、迂回路を探すといいですよ。」



「大事なのは、多くの人が力を合わせて助け合い、古い構造に対して向かっていくことです。
少数の賢くてやる気のある人だけでやろうとすると、それは周りの人には脅威と写るから。
多くの人の協力を得るためには、集まって話し合うこと。勇気を持って議論することです。」



「ちなみにここでは、こういう政治や経済、エネルギーといった大事なことは、どこでも話すよ。
家庭でも、カフェでも、学校でも・・・どこでもね。」



スウェーデンは、組織を作るのが得意なんだ。組合とかボランティア団体とか。
100年も前から、市民運動の経験があるからね。


エコ自治体に取り組み始めた80年代のオーベルトーネオ(人口6,000人)では、600人もの大人たちが集まって、たくさんの学習サークルをつくり、将来について議論したよ。
このサークルは、誰だって始めることができるんだ。


ちなみに、スウェーデンEUに加盟する時も、全国にたくさんの学習サークルが生まれて、みんなで議論したんだよ。」



「まずは地域から始め、次に地方で、最後に国のレベルに組織を成長させていくのです。
生涯教育をする学習サークルは誰でも立ち上げられます。これが民主主義と市民運動を支えている重要な要素です。」



「誰かがやってくれる、なんて思っていちゃダメだよ。誰もやってくれないんだ。自分たちが始めないと」



スウェーデンには、環境党(緑の党)がありますが、この党は任期を2回以上やらない方針を持っています(1期は4年)。
これは非常にいいことで、3期も4期もやると、ずっと昔に立てた計画をだらだらと引きずってしまう。
でも2期しかないなら、その8年間の間にプロジェクトを達成させよう、という動機になります」



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スウェーデンがなぜ環境先進国になれたのか、なぜ民主主義が発達しているのか、その理由が垣間見れたように思う。


長い期間の取り組みという培ってきたものがあるからこそ、
今のような国を作ることができているのだ。



日本はいま、確実に岐路に立たされている。


「自分が始めないとね。誰もやってくれないんだよ」


その言葉が、深く胸に響いたのだった。