木くずで、お部屋があったまる。

まだ残暑が厳しい日本ではタイミングの悪い話だが、

いずれ冬はやってきて、今度は暖房が必要になる。


さて、その時にどうやって部屋を暖めようか?


おそらく、ほとんどの人はエアコンや電気ストーブだろう。


でも、自然エネルギーを使うと、いろんな方法がある。


その一つが、木くずを使った、地域温水暖房だ。

仕組みはものすごく簡単。


まず、材木業者から、木くずを集める。
それを燃やして、お湯を沸かす。
水道のように配管を敷いて、お部屋に届ける。


これだけ。


木くずなので、温室効果ガスもゼロ(と見なせる)。


材木業者は、今までゴミだった木くずから利益が出る。


家庭では、エアコンのような不健康なものを止めて、
温水パネルからの輻射熱によって健康的に暖をとれる。


電気もほとんど使わないから、発電量を減らせる。


そんないいことだらけの木くずによる地域暖房。

今日は、スウェーデン北部の街オーベルトーネオで、それを実践している会社を訪問してきました。


8人(!)もいる共同経営者の一人、ウルフさん。


最初は自治体に地域暖房をやってくれ、とお願いしに行ったが、逆に自治体から「支援するので起業して推進して欲しい」とお願いされた、とのこと。

その後、EU自治体から補助金を得て、銀行からも借り入れて、工場を建てて配管を敷いた。


これが木くずの燃焼炉。手前二本のパイプを、木くずが通る。


そして配管。
ステンレスの管に、断熱材が巻かれているだけ。


当時、各家庭では、それまで灯油や薪、電気などで暖を取っていたのだが、この温水による暖房に切り替えた。
その方が安いし、楽だし、環境にもいいし、体にもやさしい。いいことだらけだったからだ。



ちなみに、ビジネスの観点でみても、この会社はとてもユニークだ。


8人もの共同経営者がいて、全員他の本業の会社を持っている。例えば広大な森のオーナーで、林業を営んでいたりする。
本業があるので、実はこの会社で利益を上げる予定はない。借入金さえ返せればよく、本業で利益をあげるのだという。

ビジネスモデルとしては、自分の会社から派遣のように人材を提供する(その分が本業の利益になる)。それから、木くずをこの会社に販売もする(これも本業の利益)。


また8人は、お互いに責任分担し、民主的に話し合いながら(ここが大事)、この会社を運営している。
実際には25%を出資している人が2人いるので、その2人で議決権を持つのだが、きちんと8人で決めている。


もっと言うと、この地域温水暖房を取り入れた家庭には、それまで持っていた暖房(ストーブなど)を捨てないようにお願いしたという。もし、この温水暖房のコストが高くなったら、以前の暖房に戻れるようにするためだ。


感動的なモラルの高さ。
どこかの独占電力会社に、爪の垢を煎じて飲ませてあげたいくらいだ。



※ちなみに、この会社は映画「ミツバチの羽音と地球の回転」でも紹介されています。