参院選。自民党と投票率と、緑の党

熱くて暑かった参院選が終わりました。

結果は予想通り、自民党が大勝しました。

そして投票率も低かった。

なんと、わずか52.61%で、戦後3番目の低さ

僕が応援していた緑の党も、健闘むなしく一議席も取れませんでした。

どれも予想通りです。(期待通りではない)


ひとつずつ振り返ってみます。

まず自民党

大勝(65議席)したけれど、圧勝(72議席超)ではなかった。つまり、単独で過半数はとれなかった。

かつ、維新のような改憲政党と組んでも、3分の2には達しない。

これで3年は、改憲は事実上進められないことになった。

3年もあれば、安倍政権は失脚するに決まっているから(年内だって怪しいものだ)、一安心の結果だと思う。


続いて、投票率

低い原因はこちらの図(ソース)を見ると明らかで、とにかく若い世代が投票しない。20代なんて、ずっと30%台だ。

これはもう、ここ数十年で培ってきた一つの「成果」ですらあると思う。
「自分の時間やリソースを、自分にとってメリットのあることに使うのが利口」という教育、メディア、大人の振る舞いを、きちんと受け取った若い世代が達成した成果。

選挙で投票する、というのは、自分へのメリットが極めて小さい行為です。
比例区なら、120万票でやっと当選なのだから、自分の1票は最高でも120万分の1でしかない。さらに、せっかく投票しても落選しようものなら、何らリターンがない。それどころか、失望というマイナスになる。

限られた自分の時間を、そんなことに使うのは全く利口ではない。それより、ゲームをしたりバラエティやドラマを観たりしたほうが確実に楽しさが得られる。

そんなわけで、賢い若者たちは、選挙なんかに行かないのだ。

ちなみに、若い世代が投票に行かないのは日本だけではなく、先進国では共通の課題の様子。もちろん、投票率の低さのレベルが違うが。例えばスウェーデンでは、彼らの投票率が70%台に<落ちた>といって民主主義の危機を嘆いている。(ソース

日本において、若い世代の投票率を回復する特効薬は残念だけど、ない。ゆっくりと時間をかけて、政治への信頼を立て直したり、当事者意識の持てる教育機会を増やしたり、といった活動を地道にしていくしかないからだ。
10年後に+10%、20年後に+20%、といったゆるやかな改善(年率1%だ)を目指して、取り組んでいこう。



そして最後に、今回初めて国政に挑戦した「緑の党」。

トータルで45万票を獲得したものの、一議席に必要な120万票には遠く及ばず、候補者全員(比例区9名、選挙区1名)が落選してしまった。

ちなみに僕自身は「緑の党」の前身のころからずっと支援しているし、もちろん党員でもある。党のビジョンには全面的に賛同し、今回は寄付や人生初のポスティングなど、いろいろ協力もした。


そのうえで、主に緑の党の支援者に申し上げるけれど、まず、この結果は当然です。

だって、候補者が決まったのがギリギリ。比例区一人600万円の供託金お金もなんとかかき集めた状態。
それで当選できるわけないよね。新参者がベテランと同じ舞台で勝負するんだったら、用意周到に万全で臨んで、それでも勝てるかどうか。

だから、45万票を取れただけでも、大したものです。(選挙結果

もちろん、無茶なことしているのは、党のコアな人たちはわかっていたんですよね。でも、初めてのことはやってみないとわからない。失敗のことなんて考えないで、まずやってみる。そうしないと、いつまでたっても緑の党が国会に行けない。

だから、大切なことは全員落選したという結果ではなくて、挑戦したという結果なんです。


それから、候補者の中で最も票い17万票をとった三宅洋平さん。すばらしい。
でも、ネットを見ていると、「17万票の三宅さんは落選したのに、自民のワタミこと渡辺さんは10万票で当選。そんなのおかしい!」と騒いでいる支持者たちが結構いるようです。
いやー。ぜんぜんおかしくないですよ。
もし、党への投票をなくしたら、当然、渡辺さんへの投票も増えるに決まっているでしょう。
それに、渡辺さんを候補にするような自民党を支持しているのだから、この結果は全く正しい。

もう一度確認しますけど、僕は緑の党に最も希望を抱いているし、三宅さんにも当選してほしかった。でも、それと負け惜しみするのは違う。

僕の視点では、三宅さんの17万票よりも、「緑の党」という党名で投票してくれた人が24万票もあること。これこそが最大の成果だと思います。無名で、できたばかりで、一人も国会議員がいない政党が掲げた理念や目標に対して、それだけの支持がもらえた。本当にすごいことです。


これを機に、ではどういう制度がいいのか、一つ提案しますけど、「個人名で投票する」ほうをなくして、「党名のみ」とするんです。

各党は、事前に当選順位を決めておく。得票数に応じて、上から順に当選。こうすれば、「個人の力量」ではなく、「党として国会に送りたい人」を当選させられます。
今回、もし緑の党から1名当選するとしたら、三宅さんでしたけど、彼は100%政治の素人です。緑の党として成果を出すことを考えたら、2番手だった杉並区議のすぐろ奈緒さんのほうが間違いなく人選として正しい。そういうことができたほうが、党として、つまり支持者としてありがたいでしょう。

こうして、「党名でのみ投票」にすると、各候補者は「政党の売り込み」に集中すればよくなります。自分を売る必要がない。その方が説得力が出るし、効率的な選挙活動ができます。


この選挙制度を実際に持っているのが、先にも挙げたスウェーデンです。2年前の夏に視察ツアーに行って、向こうの緑の党の人たちに実際に聞いて、びっくりしたのと同時に、とても合理的で納得しました。

ちなみに、スウェーデンでは、選挙期間<前>に、TVや新聞、ラジオなどあらゆるメディアで<主要な論点について議論しつくされている>ので、期間<中>は有権者が最後にじっくりと考えるための時間で、大きな選挙活動をしないそうです。すごいでしょう?


翻って、日本の民主主義は、著しく未熟です。国民にその自覚がないほどに未熟。党が作ったマニフェストを、代表が変わったくらいで簡単に反故にし、真逆に進めてしまう。それを許すメディアにあきらめる国民、という燦燦たる状況です。

あと100年たっても、いまのスウェーデンと同じレベルの民主主義には到達しませんが、ガンジーの言うとおり「善きことはカタツムリの速さで進む」と思って地道に立て直していくしかありません。
その時に希望の道しるべになりうるのが、緑の党だと思っています。だから党員にもなっているのですしね。


もう一つ、選挙期間中に緑の党共同代表の長谷川ういこさんにもお伝えしましたけど、純粋に選挙戦略という意味で、「脱原発」って声高に言わない方がいい。
脱原発なんて、細かい内容は違えど、自民党以外どこも言っている。差別化できないことを前面に出してどうする。

それよりも、もっと大切な理念、「脱・経済成長至上主義」のように、「緑の党にしか言えないこと」で訴えていく。
脱原発なんて当然だし、内部や集会でいくらでも話し合えばいい。自分が訴えたいことではなく、まだ緑の党を知らない人に「もっとも響くこと」で訴えるのが、選挙の成否を決めるのです。


緑の党の国政再挑戦は、衆院選に出るほど力がないので、次は3年後の参院選でしょう。
とにかく、個人名でなく党名を広めること、緑の党の理念で訴えること、いまから3年後に向けて準備すること。

これで次回は10人当選だ!


あー、くやしい参院選だった!!