放射能から子どもを守る その12 体に溜まる放射能

前回「家畜のエサのほうが安全?」の続きです。


これが「放射能から子どもを守る」シリーズ最終回です。


最後は、放射能が体内に溜まっていくことについてお伝えします。


できるなら汚染されているモノは子どもに食べさせたくないけれど、

毎日いろいろ食べるから100%避けるのはムリだし、

少しは放射能が含まれているモノを食べても大丈夫な気もします。


そこで考えたいのは、

「毎日少しずつ放射能を取り込んだら、どうなるのか?」

ということです。


例えば、一度の食事で500Bq(ベクレル)を食べるのと、毎日5Bqだけ食べるのとでは、どちらがリスクなんでしょうか?


先に答えを言ってしまうと、

おそらくご想像の通り、

毎日少しだけ食べる方がリスクが高いのです。


一度取り込んだ放射能セシウム)は、そう簡単には体から出て行きません。

半分が出て行くまでに4カ月近くもかかります。ほぼ100%が出て行くのは1年後です。

その間ずっと、体内の器官を老化させたり、DNAを傷つけたりし続けます。



この表を見て下さい。

これは子ども(体重15kgを想定)の場合に、

「毎日どれだけのBqを取り込むと、1年後にどれだけ体内に溜まっているか」を示しています。

3.11の福島原発事故より前の1日の食事には、わずか0.1Bqしか放射能は含まれていませんでした。

だから子どもの体内には18Bqだけ残っていた。

これが震災前の汚染度です。


さて、仮にAさんの子どもが、1日の食事で5Bqだけとったとしましょう。

暫定基準値は、1kgあたり500Bqですから、わずか100分の1の量です。(それでも震災前の50倍ですが)

それを1年間続けると、どうなるか?

なんと、900Bqも溜まってしまうんです。

「毎日5Bq」は、高血圧になって鼻血が出やすくなったり、

いろいろな器官や心臓にトラブルが起きる傾向が出てくる数値なんです。


何を食べたら5Bqか、って?

例えば「その10 お魚の汚染」の記事の中で、「ブリ 105Bq/kg」とありました。

そのブリの刺身を50グラム食べたら、それで5Bqです。

たった数切れですよね。



さらにBさんの子どもが、1日あたり50Bqとり続けたとしましょう。

それでも暫定基準値の10分の1です。

しかし1年経つと、9,000Bqにもなってしまい、

これは高度に体内汚染されたレベルで、すぐに対処を始めないといけない、という数値です。


50Bqの食材なんて、ほとんど「未検出」として扱われ、普通に流通されてしまう数値です。

それでも、継続すると高度に体内汚染されてしまう。


この数値と、その場合に何が起きるのかは、チェルノブイリの経験から得られたものです。

だから、ベラルーシは日本よりもずっと低い基準値をもっているし、

ドイツはさらに厳しくしているんです。


日本の今の基準は、子どもにはあまりにも緩すぎます。

これまでにお伝えしてきた4つの対策

「取り込まない」

「体から出す」

「自分基準を持つ」

「継続して知る」

を生かして、子どもを放射能から守ってあげてください。



<参考>
3.11以前の一日あたりの食事に含まれる放射能濃度

ICRPの体内蓄積グラフ

体重70kg、セシウム100Bq/kgの食品200gをときどき食べた場合の蓄積グラフ